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    幸田村

    福岡の劇団HallBrothers・主宰幸田真洋の日記とか雑記とかいろいろ。

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    幸田真洋

    Author:幸田真洋
    劇団HallBrothers主宰・脚本・演出・役者。

    次回公演は10月末。
    劇団初の県外公演です!

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    2012.02
    08
    Category : 日記
    僕は常にジェントルマンでありたいと思っている。つまり、紳士だ。

    ・・・と、「僕は常にジェントルマンでありたいと思っている」で終わらずに、わざわざ日本語訳して「紳士」と述べるところが、ジェントルマン精神の表れである。気遣い。配慮。細やかな心配り。「え?ジェントルマンって何?意味わかんない。」という御仁がいてはいけないから。

    そう。ジェントルマンとは他者に対して心遣いのできる大人である。

    昼間、時間が空いたので洗車をしてもらった。
    近所のガソリンスタンド。太ったお兄さん。
    手洗い洗車だ。つまりお兄さんがその手でごしごし洗うのだ。

    洗車終了後、
    「仕上がりのチェックお願いします!」
    とお兄さんが駆け寄ってきた。すがすがしいほどの元気。太っているのに元気。いや、太っているのは関係ないが。
    愛車をぐるりと見る。ピカピカである。太っていてもいい仕事だ。いやだから、太っているのは関係ないが。
    とにもかくにも満足のいく仕上がりであった。
    「最後にこちらへサインをお願いします!」
    お兄さんが作業内容書を突き出してくる。ニコニコと微笑みながら。頬を赤らめながら。
    いや、お兄さんは決して僕に恋をしているわけではない。ときめいて頬を赤らめているわけではない。
    寒空の下、その巨漢で懸命に作業したから、頬が赤くなっているのだ。
    寒空の下―

    サインをしながら考えた。
    ジェントルマンたるもの、他者に対して心遣いのできる大人であらなければいけない。
    サインをし、当然のように車に乗り込み、走り去る。それでいいものか。
    作業内容書を渡しながら、一言
    「寒い中、ありがとう。」
    などねぎらいの言葉をかけべきではないのか。

    頭の中でその光景を想像してみる。
    おお・・・
    穏やかな笑みを浮かべ、スマートに作業内容書を差し出し、落ち着いた低音ボイスで「寒い中ありがとう。」というカッコイイ大人の姿がそこにあった。
    お兄さん、今度は本当に恋して頬を赤らめるかもしれない。いや、そうなっても困るけど。

    ぞくぞくした。
    ジェントルである自分を想像してぞくぞくした。
    やるしかあるまいと心に火がついた。
    サササッとサインを済ませ、スッ作業内容書を差し出した。穏やかな笑みを浮かべた。ゆっくりと口を開いた。
    「さむ、」
    「ありがとうございましたー!」
    「・・・・・・」
    お兄さんの元気な声が渾身の低音ボイスにモロ被った。

    「・・・いなか、ありがとう。」

    一応、もごもごとセリフは言った。最後まで。しかし、お兄さんにはぜんぜん届いていなかった。
    お兄さんは笑っていた。お見送りモードで、僕がエンジンをかけるのを見守っていた。
    もう一度言うべきか悩んだが、タイミングを外してしまったので言い出せなかった。気弱なジェントル。翼の折れたジェントル。

    お兄さんの見送る中、いそいそと車を出した。
    結局、ありがとうすら言っていない感じの悪い客になってしまった。


    車を走らせながら考えた。
    ジェントルマンとは他人に配慮できる大人のこと。
    であるならば、そもそも雪の降るような寒空の下、手洗い洗車を頼むなよ、と。

    ・・・ジェントルマンへの道は険しい。



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