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    半径50メートル

    福岡の劇団HallBrothers・主宰幸田真洋の日記とか雑記とかいろいろ。

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    幸田真洋

    Author:幸田真洋
    劇団HallBrothers主宰・脚本・演出

    次回活動予定
    8月にKVA俳優学科2年生夏公演 作・演出。
    9月に劇団 HallBrothers一年ぶりの本公演。『300坪』作・演出。

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    2021.07
    11


    10:23
    Category : 日記
    先日、ふと気づいたんですけど、トイレの立ち位置が浅くなっているんです。

    どういうことか?

    女性はなじみがないかもしれませんが、男性用のあのトイレ。立ってやるやつですね。わかります?
    わからない女性の方はでどうぞ検索してみてほしいんですが、あれって、大抵目の前の壁、目線の位置に標語が貼ってあるんです。

    「一歩前へお願いします」

    みたいな。

    つまり、それだけ浅く−便器から遠くに立って用を足す人が多い、というこを暗に示しているわけですね。

    一歩足りないとどうなるか?

    飛び散るんですよね、周りに。

    便器に当たって跳ね返った雫たちが床とかにキラーンと飛び散るわけですよ。

    便器にくっつくように立っていると、飛び散っても用を足している本人のズボンに当たるだけで周囲を汚さない。
    ですから、なるべく便器と自分との隙間を空けない。それが男性用トイレのマナーなのです。

    で、今まで標語を見るたびに
    「浅く立つやつなんでどこにいるんだよ。バカか?」
    と思っていたんですが、ふと気づいたら、僕、だいぶ浅く立ってるんですよね。
    便器と僕の間、隙間ありまくり。ということは飛び散りまくり。

    ……おかしい。

    以前はぴったりくっついてやっていたんですが、いつの間にか隙間ありまくりになっている。

    で、ピンと来たんですよ。おじさんになったからか、と。

    用を足しながら隣を見るとおじさんで、やっぱり隙間が開いていました。

    周りを見渡すと(博多駅のトイレだったんですが)、比較的若者はぴったりくっついていて、おじさんは離れている。

    なぜおじさんは離れるのか?

    隠したい気持ちが薄れるからだと思いました。

    スーパー銭湯とか行っても、おじさんの方が包み隠さず、堂々とブラーンとしてるんですよね。
    若者の方がきちんとタオルで隠していたりする。

    おじさんになると恥じらいがなくなりますからね。

    だってほら、おじさん(の多く)は、
    「腹出てきたなあ、痩せなきゃなあ」
    と思いながらもだらしない腹を抱えて生きているじゃないですか。

    年を取ったら代謝が悪くなって痩せにくくなるというのはありますが、それでも本気で「これはダメだ」と思えば痩せるんですよね。
    つまり、「痩せなきゃなあ」と思いながらも「ま、いっか。ビールうまいし」って思ってるわけですよ。
    で、一度「ま、いっか」と思うといろんなことが「ま、いっか」と思うようになる。

    スーパー銭湯でも「ま、いっか」
    トイレでも「ま、いっか」
    こんなおじさんなんて誰も見てないし、見られたからってどうってことないだろ、と開き直るわけです。

    そうなんですよ、男性トイレでぴったりくっつくのはマナーだからというのもありますが、見られたくないという隠したい気持ちの現れなんですよ。
    隙間があると、隣の人から丸見えですからね。
    僕だって若い時は「み、見られたくないし」という気持ちがあった気がします。

    それが今じゃあ「ま、いっか」ですよ。誰が見るわけでもないだろ、と。見られたからってどうってことないだろ、と。

    人生において「開き直ること」は大切だと思います。

    恥ずかしがって隠していたからって人生が開けるわけじゃない。むしろ可能性が狭まることの方が多い。

    しかし、しかしですよ、ことトイレにおいてはどうだろう。
    開けたら周囲に飛び散るだけで迷惑じゃないですか。
    もっと「隠したい気持ち」大切じゃないですかね。
    あと、恥じらいがないのは美しくない。
    隣の隙間を開けて用を足しているおじさん、なんというかふてぶてしくて美しくない。
    いや、開き直るなよ、隠せよ、とか思っていまいます。僕もですけど。

    用を足しながらそんなことを考えました。

    そして特に何のオチもない話でした。

    しいてオチをつけるなら、飛び散ったものが僕の腕でキラキラ光っていました。きったね。おわり。