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    幸田村

    福岡の劇団HallBrothers・主宰幸田真洋の日記とか雑記とかいろいろ。

    プロフィール

    幸田真洋

    Author:幸田真洋
    劇団HallBrothers主宰・脚本・演出・役者。

    次回公演は2020年5月の予定。
    その前に……2020年3月九州ビジュアルアーツ俳優学科卒業公演『君の背中のナップサック』作・演出。

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    2019.10
    29


    17:44
    Category : 日記
    後悔しています。
    本当に、久しぶりにこんなに後悔しています。
    ダメな自分を呪ってやりたい。

    僕が講師を務める九州ビジュアルアーツの近くにスタバがあります。
    よく利用しているんですが、そこに僕好みの店員さんがいるのです。
    優しそうなお顔と雰囲気で。結婚したら絶対いい奥さん、ママになるだろうな、という感じ。
    実際レジでの物腰も優しく、柔らかくて、レジのたびに癒されています。

    そんな彼女が髪を切っていたのです。
    ここ何回か見かけなくて、今日、久々に見てテンション上がって、更に髪切って可愛らしかったのでテンションMAXですよ。

    いや、妻子ある身なのでどうなろうとかどうなりたいとか思ってませんよ。
    いや……もし迫られたらわからないかもしれない。いやいや、そんなことはいいんです。
    ともかく、髪を切った彼女はストライクだったんです。

    で、レジで向かい合った時、
    「いつものでいいですか?チャイティーラテ、」
    と言ってくれました。
    そう、僕はチャイティーラテが好きで、スタバではチャイティーラテしか飲まないのです。
    それを覚えてくれていて、これはもう
    「髪切ったんですね。とても似合っていますよ。」
    とか軽快に会話できるチャンスではないですか。カッコイイ男になりたい僕ですし、またとないタイミングです。
    「はい。チャイティーラテ、ホットで。」
    「お食事は大丈夫ですか?」
    彼女がたずねます。お食事はいい、それより髪を切ったことをお話ししたい。
    首を横に振ってクレジットカードを読み取り機械に入れて待ちます。
    チャンスはレシートが出てくるまでの間です。
    心なしか彼女もお話ししたそうな気配です。髪切ったこと触れてほしいかもしれない。いや、触れてほしいでしょう女の子ですもの。
    ここでその話題に触れ、会話が盛り上がり、連絡先を交換して、道ならぬ恋に発展し、彼女への愛と娘への愛で葛藤する人生が見えました。おおお、それはダメだ。ダメだけれど、今、ここで「髪切ったんですね」くらい言えないと。お前はそうやっていつも大事なところで言葉を口に出せずに後悔してきたじゃないか。お前の人生はそうやって負けっぱなしでいいのか。心の中はさながら芝居のクライマックスシーンです。
    「ありがとうございました。」
    彼女がそっとレシートを差し出しました。その笑顔が心なしか悲しそうに見えました。タイムリミットです。あーあ、僕の人生はこうやって大事なものを取り逃してきた四十数年なのです。

    というわけで、猛烈に後悔しています。


    ……というのが昼休みの話。

    その後、午後の授業の間、心の中を秋風が吹き続けました。
    寒い。あまりに寒い。
    冷えた心を温めるため、授業後、稽古までの間にスタバへ寄りました。それが今です。
    そして……彼女がいました。

    おおお、まだいた!!!

    全然、期待していなかったんですが、まだ働いていました。
    神様、これは僕を応援してくれているのですか?
    レジに並ぶと昼間と同じかわいらしい笑顔で彼女が迎えてくれました。
    「チャイティーラテでいいですか?」
    はい。
    「髪、切ったんですね。」
    言えました。しかもめちゃくちゃ自然に。2回目だったのがよかったのかもしれません。
    「あ、そうなんですよ。ばっさり。」
    「素敵だと思いますよ。」
    これはやや照れながらです。やっぱりハリウッド映画の外国人のように素敵な感じでは言えませんでした。まごまごしながら。でも、ちゃんと言えました。
    「ホントですか?ありがとうございまーす。お飲み物、バーカウンターよりお出ししますね。」

    ……めちゃくちゃ普通でした。

    さっきまで学校で芝居の稽古をしていた僕にはわかります。
    あれは、何ら特別な感情のない普通のありがとうでした。
    そういえば、久しぶりですもんね、彼女見たの。
    いや、僕が久しぶりなだけで、彼女はいつもと同じく普通に働いていて髪はずっと前に切っていたのかもしれません。
    で、さんざん「髪切ったね」と言われたあとで、何ら特別なことではなくなっていたのかもしれません。
    そんな時に髪の話題に触れられても「ああ、そうですか」くらいのものですよね。

    いやいや、昼間、心なしか笑顔が悲しそうに見えたんですが……そういえば、彼女はどちらかと言えば、たれ目でした。たれ目の人って笑顔が困っているように見える時ありますもんね。




    秋風がまた、僕の心を吹き抜けました。
    寒いですね、最近。

    さ、稽古に行こう。

    おしまい。