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    幸田村

    福岡の劇団HallBrothers・主宰幸田真洋の日記とか雑記とかいろいろ。

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    幸田真洋

    Author:幸田真洋
    劇団HallBrothers主宰・脚本・演出・役者。

    次回公演は2018年1/31~2/3
    @パピオビールーム大練習室
    キビるフェス~福岡きびる舞台芸術祭~2018

    『となりの田中さん』を再々演します!

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    2011.05
    26
    Category : 日記
    久しぶりに警備のバイトに行ってきました。
    とあるマンションの改修工事中で、足場が組んであります。
    その足場を解体してトラックに積み込むという作業。
    僕の仕事は、トラックを横付けしている間道路が狭くなるため、通行する車や人を誘導するというものでした。

    解体された足場材が次々とトラックへ運ばれてきます。
    トラックの前には足場材を荷台へと積み上げていく担当のおっちゃんがいました。

    足場を組んだり解体したりする鳶職の方々は、僕が出会ってきた人たちに限るのかもしれませんが、わりかし粗野な方が多くて、すぐ怒鳴られたりします。
    しかし、そのおっちゃんは明るく人なつっこく、ああ、今日はいい人に当たったなあと一安心でした。

    荷台にたくさん材料を積んで、トラックは出発しました。
    その直後、幼稚園送迎のバスが走ってきました。
    トラックを横付けした状態だのままだと、おそらくバスは通らなかったでしょう。トラックのせいでかなり道路が狭くなっていたのです。
    「おおー、危なかったね。ちょうどいいタイミングでトラック出たね。」

    おっちゃんが話しかけてきました。
    「ですねー。」
    僕も胸をなでおろしながら答えました。

    すぐに二台目のトラックがやってきます。
    足場材がどんどん運ばれてきます。
    おっちゃんは足場材を荷台に積み上げながら話しかけてきます。
    「いや、しかし、さっきは間一髪やったなあ。いいタイミングでトラック出てくれたよ。」
    「そうですね。」

    ・・・それ、ほんのすぐ前に話したけどなあ。まあ、気使って話しかけてくれてるのかもしれないし、粗野な人よりぜんぜんいいや。と思っていたら、
    「いや、ホント、いいタイミングやったよ。ね。」
    とおっちゃんは笑いかけてきます。
    「そ、そうですね。」

    答えた後、しまった、「そうですね。」じゃなくて、ここから話題を膨らますべきだったんじゃないのか?おっちゃんはコミュニケーションを取りたがっているんじゃないのか?と考えてしまいましたが、僕はおしゃべりが得意な方ではないし、どう話題を広げていいかもわかりません。
    それに、コミュニケーションを取りたいのならば、また違う話題でおっちゃんも話しかけてくるはず、と思っていたら、
    「いやー、しかし、間一髪やったなあ。いいタイミングやったよ。」
    と笑いかけてきました。

    ・・・これは僕のコミュニケーション能力を試されているんでしょうか。

    しかし、どう広げればいい?「そうですね。」じゃなくてどう広げればいい?

    「そういえば、昔、別の現場でですね・・・」と同じようなシチュエーションで経験したエピソードを話したりすればいいんだろうか?それとも、
    「いやー、やっぱり狭い道路にトラック止めると大変ですよね。でも、工事ってやりやすいところばっかりじゃなくて、こういう作業しにくい現場もたくさんあるじゃないですか。やっぱり今までもあるでしょ。大変な経験をしたこととか?」
    とか、おっちゃんが歴戦のエピソードを披露しやすいように水を向けた方がいいんだろうか?とかあれこれ考えてしまいましたが、結局は
    「そうですね。」
    と答えてしまいました。

    どんどん足場材が運ばれてきて、おっちゃんも忙しくなってきたので、話はそこで終わりました。
    が、一区切りついたところで、再びおっちゃんが笑いかけてきました。
    「いやあ、ホント間一髪やったなあ。いいタイミングでトラック出たよ。」

    ・・・僕に一体どうしろと言うんでしょうか?

    これは僕にコミュニケーションを求めているに違いないのだ。
    どうにか、どうにか話題を広げるようにしなければ、ととりあえず口を開こうとすると、
    「いやあ、ホント間一髪やったなあ。間一髪、間一髪。ハハハ。」
    とぶつぶつ言いながら、作業に戻りました。

    ・・・独り言!?


    その後、おっちゃんは同じ話をさらに4、5回、僕に振ってきました。同じように明るく、人なつこく。
    そして気付きました。
    おっちゃんは別に、その話題に対する返答や、そこから更に話題を広げるようなことは望んでいないのだ、と。
    おそらく、ただ思いついたことを口にしているだけで、ほとんど独り言のようなものだ、と。口に出せればそれで満足なのだ、と。
    ・・・いますよね。こういうおじさん。


    そして僕は、そのたびに「そうですね。」と答えたのでした。